些細な言葉

淡々と言葉を紡ぎたい

美しく儚いゆりの花

つなぐ
実際に話したリアルな君と
遠くからみている希薄な君と
 
地球に立っているぼくと
空から自分をみているぼくと
 
自然の中のカケラ
 
話しているときの僕はニセモノで
遠くから見ている僕はホンモノ
 
ホンモノとニセモノのボーダーラインが
近づいていく
 
まだまだこのままでいい、このままがいい
 
あとで会おうね
 
私を見つめているあなた
私の話を聴いてくれているあなた
 
あなたの前に私がいる
 
奇跡でも
 
「好き」 という言葉が陳腐で遠い
もう何も書けない
 
ゆりは花が下向きに
咲くという習性があるんだって
 
下向きに咲く花は、
首がぐったりしているように見えるから
縁起が悪いなんていうけど
 
私はそれでいいの
 
ゆりの花言葉
 
「純粋」「無垢」「威厳」
 
私のあこがれ
 
でもあこがれは私の分身で
とても静か
 
そろそろ出るね
 
風が心地よくて舞い上がる
 
でも静かだよ
 
静かすぎて怖くなる
 
ゆりが上を向けないのは
怖いんだろうね
 
 

君の歩くスピードが遅いから

 
君の歩くスピードが遅いから
 
自分の歩くスピードを落とそう
 
ペースひとつで二人の世界はかわるよね
 
会話しながら、ドキドキしてても
 
しっかり君の横顔をみる
 
次の言葉を探しても、
ビクビクして、何も見つからず
 
なんか、寒いね 
 
そう言ったら、
 
眩しい目をして
 
冬の曇天を
 
見上げてうなづくだけの君
 
揺れているダッフルコート
 
ロングヘアーが冬の冷たい風に
切なくなびいてる
 
焼き付く瞬間をいくつも探して
 
この瞬間が永遠だったらいいな
 
飲み込まれるような
 
息が詰まるような
 
不思議で静かに深い気持ち
 
樹木がフェンスになっている
 
誰もいない冬のちいさい公園で
 
静かに、そして、強く抱きしめた
 
君の吐息のスピードが遅いから
 
自分の吐息をなんとか遅くする
 
この惹かれるオモイはどこからくるんだろう
 
ダッフルコートのトッグルが
 
やけに邪魔だよ

戦場のタンポポ

毎日毎日、重い鉄の扉を押して
 
戦場に入っていく
 
殺したくないけれど、勝つために
 
疲れ果てて、仲間と笑いあう
 
みんな、見て見ないふりしてる
 
感じて感じないふりをしている
 
今日も
 
重い鉄の扉を押して
 
戦場に入っていく
 
私は知っていた
 
その扉の片隅に黄色いタンポポが咲いていることを
 
視線は戦場へ向いていても
 
黄色く、健気な小さな命が視界に入ってくる
 
そこに目を止めることはしない
 
できない
 
少しでも心を奪われることが怖いから
 
殺したくないけれど、勝つために
 
疲れ果てて、仲間と今日も笑いあう