些細な言葉

淡々と言葉を紡ぎたい

戦場のタンポポ

毎日毎日、重い鉄の扉を押して
 
戦場に入っていく
 
殺したくないけれど、勝つために
 
疲れ果てて、仲間と笑いあう
 
みんな、見て見ないふりしてる
 
感じて感じないふりをしている
 
今日も
 
重い鉄の扉を押して
 
戦場に入っていく
 
私は知っていた
 
その扉の片隅に黄色いタンポポが咲いていることを
 
視線は戦場へ向いていても
 
黄色く、健気な小さな命が視界に入ってくる
 
そこに目を止めることはしない
 
できない
 
少しでも心を奪われることが怖いから
 
殺したくないけれど、勝つために
 
疲れ果てて、仲間と今日も笑いあう